歩く姿を美しく変える「身体の要」。太ももの外側を支える「大腿筋膜張筋」の秘密

こんにちは。Space SOUのSayoriです。

本日は「身体の学び(Body Logic)」のシェアをさせていただきます。 今回のテーマは、私たちの太ももの外側を走り、歩行や姿勢の安定に欠かせない筋肉、「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」です。

将来、皆さんがご自身で身体をケアしていく上でも、この筋肉の仕組みを知っておくことは一生の財産になります。解剖学に触れるのが初めての方にも、イメージしやすいように紐解いていきますので、ぜひご自身の身体の中を想像しながら読んでみてくださいね。

目次

大腿筋膜張筋と腸脛靭帯の「起始・停止(スタートとゴール)」

筋肉には、骨にくっついている「起始(スタート地点)」と「停止(ゴール地点)」があります。

<起始>
腸骨の側面
(上前腸骨棘、腸骨稜前面)

<停止>
腸脛靭帯を経て脛骨側面
(脛骨外側顆)

起始

腸骨(骨盤の外側の骨)の側面にある、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)という骨の盛り上がりのすぐ下・外側からスタートします。

上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく:ASIS)は、骨盤の前側上部にある左右の骨の出っ張りです。腰に手を当てたときに、人差し指のあたりに触れる部分を指します。

停止

面白いことに、この大腿筋膜張筋の赤い筋肉(筋繊維)の部分は、骨盤のすぐ下から15cm程度しかありません。そこから下は「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」と呼ばれる、非常に硬くて白い繊維状の組織に溶け込むように合流し、太ももの外側を通って、膝の関節を飛び越え、膝下の骨(脛骨の外側)へと繋がっています。

つまり、骨盤からスタートして膝下まで繋がっているという、脚の外側のラインを支える長くて強靭な「バンド」なのです。実は、お尻の大きな筋肉(大殿筋)の端っこも、この腸脛靭帯に合流して脚を支えています。

歩く・姿勢を支える「2つの重要な働き」

この筋肉と靭帯のセットの働きは、大きく分けて2つあります。

① 脚を外側に開く、骨盤を支える(股関節の外転)

筋肉が縮むことで、太ももの骨を外側へと開く働きです。お尻の筋肉(中殿筋や小殿筋)とチームを組んで連携し、私たちが二足歩行で片足立ちになる瞬間に、骨盤が横にグラグラと崩れないようにピタッと安定させる、非常に重要な役割を担っています。

② 足をまっすぐ踏み出す(股関節の内旋)

骨盤のやや前方から始まっているため、脚を前に引き上げる動きとセットで、太ももの骨を内側へ少しひねる働きがあります。

実は人間の身体は、脱力すると自然とつま先が外に開きやすい構造になっています。脚を前に踏み出すとき、この筋肉が働かないとつま先が外に開いてしまいますが、内側に絞ることで足先をまっすぐ前に踏み出せるようにしてくれているのです。別名「ガニ股防止筋」とも言える裏方の力持ちです。

Sayoriの身体の答え合わせ(解説)

Sayori

このように、大腿筋膜張筋は私たちが歩くときに、体重が乗った側の骨盤を下へグッと引き込み、股関節を安定させるという重要な裏方の仕事をしています。

Sayori

でも、長時間のデスクワークなどで『股関節と膝が曲がった状態』が続くと、骨盤から膝下まで繋がっているこの筋肉は常に短く縮んだ状態を強いられ、カチカチにこわばってしまいます。
さらに、長時間歩いたり山登りをしたりして『前もも』が疲れてくると、代わりにこの外ももの筋肉が頑張りすぎて(代償動作)、ますます硬くパンパンに張ってしまうのです。

大腿筋膜張筋がこわばるとどうなる?

大腿筋膜張筋と腸脛靭帯は、「ラテラルライン」という、体の外側をワイヤーのようにしっかり固定する役割も持っています。この筋肉が働きすぎてカチカチにこわばると、歩幅が狭くなったり、太ももの外側がパンパンに張る「外ハリ脚」の原因になったりします。 また、筋肉が骨盤の前に付いているため、硬くなると骨盤が前傾方向に引っ張られ、反り腰の原因になることもあります。

では、なぜこの筋肉はそんなに働きすぎてしまうのでしょうか? 実は、多くの場合 「お尻の筋肉(特に中殿筋や大殿筋)」がうまく使えていない(サボっている)こと に原因があります。本来は、お尻の筋肉とチームを組んで骨盤を安定させるのですが、お尻が使えないと、大腿筋膜張筋が一人で代わりに頑張りすぎてしまうのです。

また、いつも靴の踵の外側ばかりがすり減るという方はいらっしゃいませんか?実はこれも、歩くときにこの筋肉がうまく機能しておらず、足が外に開くガニ股歩きになっているサインかもしれません。

まとめ:知識が未来の身体を創る

この筋肉は非常に強靭で、普段なかなか意識しづらいため、知らず知らずのうちにストレスや疲労が溜まりがちです。だからこそ、ただ硬くなった外ももを無理にグリグリと揉んだり、痛いのを我慢してストレッチしたりするだけでは、根本的な解決にはなりません。

「お尻の筋肉をしっかり使って歩く」という意識を持ったり、長時間の座りっぱなしで縮こまった股関節をこまめに立って伸ばしてあげるなど、日常の小さな姿勢の見直しが、外ハリ脚や身体の不調を手放す第一歩になります。

難しい名前や仕組みをすべて暗記する必要はありません。ただ、「私の太ももの外側で、骨盤と膝下を繋ぎ、足をまっすぐ踏み出して姿勢を支えてくれている大切な筋肉がいるんだな」とイメージしてあげること。それだけで、身体の使い方は少しずつ心地よい方向へと変わっていきます。

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