雨上がりの石畳を、柔らかなヒールで踏みしめるような、そんな感覚の朝がある。
胸の奥にずっと引っかかっていた何かが、ふっと音もなくほどけて、思わず深呼吸がしたくなる瞬間。
そんな朝に、ぴたりと寄り添ってくれる言葉があるとしたら、それはきっと「解放」だ。
78日間トランサーフィン実践マニュアルの10日目。
今日は、「がんばること」より「手放すこと」に焦点を当てる日。
“それが自分のものになるのは当然だ”
そう書かれたページを開いたとき、私はふと肩の力が抜けた。
大きな夢を叶えたいときほど、人はつい力を入れてしまう。
「もっと頑張らなきゃ」「足りてない」「まだまだ」と。
でも、本当に夢がかなう瞬間って、もっと静かで柔らかくて、 自分でも驚くくらい自然にその場所にたどり着いている気がするのだ。
これはきっと、「努力をしなくていい」という意味ではない。
でも、“がむしゃら”という名の重たい荷物を背負っている限り、 どこかで「結果」に意識を持っていかれてしまう。
すると、現実はうまく動かなくなる。
だからこそ、「重要性を手放す」という教えは、 私にとってまるで魔法のようだった。
「大事にしたいからこそ、執着しない」
「叶えたいからこそ、結果にしがみつかない」
そんな逆説的な軽やかさが、トランサーフィンにはある。
最近、私は「言葉の力」に惹かれている。
イライラしたときに、「イライラしてる」と言ってしまえば、 その“ラベル”が、現実を作り出す。
でも、言い換えるだけで世界が変わる。
「私は、いま穏やかではないかもしれない」 そんな風に、そっと自分に寄り添う言葉を選ぶだけで、 潜在意識は「穏やか」にフォーカスを当ててくれる。
私たちの言葉は、毎日、自分自身の内側に響き渡る音楽のようなもの。
どうせなら、優しく、整った旋律を奏でたい。
このワークを続けていると、「純粋な意図で動いているか?」という問いが、 ふとした瞬間に心に立ち上がってくる。 「ただやりたいからやる」 「やってみたいからやってみる」
それはまるで、好きな服を着てふらっと散歩に出るような軽やかさ。
今日のテーマ「解放」は、無理にポジティブでいようとすることではない。
感情に蓋をすることでもない。
ただ、「もういいや」と、 ほんの少し肩の力を抜いて、深く息を吐き出して、 自分の中にずっと残っていた“似合わない重さ”を、 そっと下ろしてあげること。
たとえば、自分を責める習慣。 「もっとできるはずだったのに」「またできなかった」 そんな言葉を手放して、代わりに「よくやってるね」って呟いてみる。
たとえば、叶えなきゃと思っていた“目標リスト”。
数年前に書いたまま、進まないタスクの山。 それ、ほんとうに今のあなたに必要?
もしかしたら、もうとっくに、その山を越える必要はなくなっているのかもしれない。
だって、その重さ、 今のあなたにはもう似合わない。
荷物を手放したその手には、 次の扉を開く鍵が、もうすでに握られているのかもしれない。
ふっと息を抜いたその瞬間にこそ、 世界はやさしく、あなたを迎えにくる。